個展は作家にとって舞台

 

11月2日から個展を開催いたします

個展開催のキッカケは全然たいそうなことでなく昨年の夏にふと、こんな作品を創ってみたい。と突然思ったのが始まりです
創るのは良いけれど、創ってどうするのか?あ、個展をするしかないか。

と普通に考えばそんな大胆なことを決めるのに、そんな簡単に?と思われると思うのですが本当にそんな感じです。
いつも何か新しいことをやるのもそんな感じです

自分が思いついたことをことを別の自分に指示してやらせている。。

変に思われるのかもしれませんが

個展をやる。ということをその勢いでやっていけるのも、今まで仕事でやってきた事が大きく関係していることも確か。

 

この時期に個展?展覧会?と思われる方もいらっっしゃると思いますし、延期した方が良いのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
今年、書道界は大きな展覧会はことごとく中止、また当初個展、社中展を計画されていたところも延期などの決断をされたところも多くありました

私自身も一瞬迷った時もありましたが、個展をする。と決めた自分の想いや個展をする。と決めてから各方面の方へお話し少しづづ動き始めていたこともあり
自分自身の今。そこに力を注いでくださった方の今。を大切にしていくことが【個展】というものかな。と思いそのまま開催することと決めて準備してきました

延期をする。という選択はできましたがおそらく延期すると書き始めていた作品は全てまっさらにしたくなるであろう自分がいるのがわかってもいました

2020年の11月に個展を開催する。という目標値にむけて集中して自分なりの表現や想いを作品に刻み込んできましたので、半年もしくは1年延期したらもうその想いとはズレてきてしまうと思ったからです。

もちろんい多くの方に観ていただき、客観的な感想をいただく。作家にとりそれがまた次への自分を見つけるステップになります
でも、今回はご来場者数とかそういうことにこだわることより、自分が1年間かけて進めてきたこと、ご協力いただいたことをきちんと認め、昇華させたい。

という強い想いでなにがあってもやり切る。と決めて過ごしてきました

グループ展には数多く参加させていただきましたが、初の個展がこのような時期になったこと
不運だとかタイミングが悪かった。とは思っていません。

自分自身にも作品を創ること、表現することなんぞや?と常に問いかけながら進めていける期間はデザイナーとして20年以上商品のデザインをし、展示会をしてきた身として、商業と芸術の違い。ということを考え迷う時間でもありました

商業と芸術

美大を卒業してすぐにデザイナーとして仕事をしてきました。
配属された部署ではオリジナルブランドの商品のディレクション、デザイン、パッケージデザイン、展示会の企画、ディスプレイ、カタログの撮影印刷と
商品生みだしてから、最終店頭に並べるまでの計画をずい分永くやってきました

すべてのことを経験させてくれた会社やしっかりとした考え方ややり方を仕込んでくれた先輩方には感謝です

そのあとも違う会社では生産のディレクション、コントロールも仕事の一環を戸惑うことなく出来たのも良く勉強させていただいたお蔭です

銀座の一等地の画廊で働いた期間もデザイナーでのもののとらえ方以外、作家とは?アートとは?ということをずっと考えさせられた期間

世間で良く言われるのですがデザイン=商業と作家=芸術・アートは近いようで少し違います
デザイン(商業的)なものは完成度の高さを求められ、作り手の意図が明確で大多数の人に良い。と思われることが重要
会社でのデザインの仕事は1つのデザインで半年で何千万円と売り上げることが必須です

作家(アート)はどこか余白というか不ぞろいというか崩れた部分に魅力が出てくるもの。完成度の高さより観る人の気持ちに預けられる部分が大きく違うところ。
作家個人の想いや人間がそのまま出るので、人間と一緒で完成度は高くない。いびつな部分や足りないところも全てがさらけ出されているもの
そこの、完成されない部分を人とがどのように感じるか?は観た人にまかせる、まかせられるのがアート

なので、決して【美しい、きれい】というようなプラスの感情だけでなく、【悲しみ、怒り】の感情も沸き起こすもの

もちろん気にって作品を購入していただく場合はありますが売上を考えて作品を創る。ということはゼロではないにしても少し商業デザインとは異なります

画廊の仕事で数多くの作家や作品を見続けてやっと少しわかってきた難しい部分です

絵画や彫刻の作家が絵筆やミノや絵具といった材料を使って自分を表現することと同じ様に、私の場合は書道はきれいな文字を書くためのことではなく
筆と墨を使っての自己表現のツールです

作品の舞台・劇場

11月の個展は作家としての作品を制作する佐藤雅嵐という人間と、作品を見せていくためにディレクションするデザイナーの佐藤雅嵐という立場の両方からアプローチする作業の共同作業でもあります

ある親しい作家の方が「展示会場は作家にとって舞台であり劇場」という言葉をいつも口にされます。これは作家として作品も制作しますが展示などに関しては客観性を持たせること。作品にどう演じて(配置)することによって人間性が出せるか。ということだと理解しています

ある舞台を皆が観てそれぞれ感じることや想いや印象など個人が個別な感情を受け止めて帰ります。劇場にお客さんを迎えて無言劇をみていただく。とでも言えるでしょうか。

 

デザイナーとしての佐藤雅嵐の仕事は、このお仕事ならこの方へ。と各方面一番信頼できる方々へ話し、お願いし無事に幕開けしそして閉幕した後までを進行していくこととなります。

開幕中はどんな立場・顔の部分で劇場に居るのかその場になってみないとまだわかりません

演者としているのか、支配人としているのかはたまた切符のもぎり(有料ではありません)として会場にいるのか

これは、デザイナーとして展示会場に居た時とは全く違う場面ですので初の体験です

ときおり悩む、商業と芸術をどうやって自分の中で上手に使っていくか?を見つけていけるキッカケとなっている展覧会でもあります

この様な時期ではありますが、観にきていただく方とお会いできますのを楽しみにしています

佐藤雅嵐個展 言葉函

11月2日(月)~8日(日)
11:00~18:30 初日15:00~ 最終日17:00まで
NGG ナカノギンザギャラリー

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