書道の印・サイズとデザインの見かた選び方
落款とは
書道には落款(らっかん)正式には落成款識(らせいかんし)といって作品を書いた後に
名前もしくは雅号や日付などを書き、印を押します。これで誰が書いたか?がわかるようになります
この時赤の色の印が入るのと入らないのでは作品の仕上がりがグッと変わり作品がほど良くしまり、格上げにもなる大切なもの
慣れていないと、印に対する言葉もわかりません。初心者の方にもわかるように印の種類などを写真とともにご紹介します
先ず名前ですが、雅号がない場合は本名、雅号があれば雅号を作品の最後に書き印を押します。
朱文と白文
印には朱文(しゅぶん)白文(はくぶん)と2種類。
文字が赤くなるのが朱文。文字が白くなり周りが赤くなるのが白文。
写真でみてもわかる通り、朱文の方が明るいイメージで、白文の方が赤が多いせいかどっしりとした感じです。
こちらは約4cm角、3.5cm角ぐらいの大きさがあるので大きな作品に押すための印
印のサイズは作品に合わせて選びます。小さすぎず、大きすぎずにバランス良く。
印には大きさの呼び方は書道では例えば1寸(いっすん)、8分(はちぶ)、など尺貫法の言い方になっています。
紙のサイズも尺での呼び方が書の世界で使われるので同じになりますが
ただ、現代では尺や寸は使わないので、【1寸の印】と言われて大きさにピンとくるには慣れが必要ですね。
1尺=約30㎝ 1寸=約3cm 1分=約3㎜ で覚えておくと大体の大きさを想像しやすいかと思います。
印のデザイン
だいたい5分ぐらいの印。白文も朱文も両方あります。
印のデザインも真面目な感じやちょっと味のあるタイプ。ちょっと優雅なイメージや素朴だったり。
雅号の【雅嵐】を両方入れたものも【雅】【嵐】だけのもの。
書いた作品に合わせてどの印を押すか選びます。
このサイズは半紙から半切(135×35㎝)の1/3ぐらいの作品に使えます
ハガキサイズに合う小さな印
こちらは1分ぐらいの小さめのサイズの印で、やはり朱文・白文そして形もさまざま
ハガキサイズの作品に使う出番が多い印。
作品の文字方向に関係ないデザイン
作品の文字方向に合わせ、印の文字の進む方向も合わせるので右から左へ進む作品の場合は大概の印で大丈夫ですが、横書きなどになった場合は作品の文字は左から右になります。
こういった印は左右がないので右から左へ進む作品にも、左から右への作品にもどちらにも使えるので便利に使うことができるので便利です。
印材の種類
印材といって印の素材にはだいたい石が使われています。永く使っていくことを考えれば石は後世にも残ります。
彫りの仕上がりに近くなった時に少し味を出したい時に【撃変(激変)】といって線をわざと欠いてしまったり、形を変形させて味をだすこともやりやすい素材です。
手持ちに合うサイズものや書いた作品に合うデザインの印がないな。という時になど消しゴムに彫って押すこともあります。
また、陶印(とういん)といった陶焼き物の印もあります
消しゴムで彫った印も充分使うことができます。
消しゴム印用の素材とカッターで作れるので、印を持っていない方が取り急ぎ必要な場合もすぐにつくれます。
遊印
印には雅印(がいん)といって雅号の印だけではなく、遊印(ゆういん)といって好きな言葉や座右の銘、自分の書道部屋に名前をつけて~庵、○○堂、△△居などといった印も遊び心があって良いですね。
遊印のように名前が入っていないと、違う人が使うことができるので雅印を持っていない人にも貸す。ということができますね。
「墨精」向かって左と「水中天」右
印影を用意
印を押すときにどこに押そうか迷うところでもあります。
その時にこの印影(いんえい)といった手持ちの印を紙に押したものを用意してあると作品に実際に置きながら大きさや、どのデザインが合うか?の見極めをしやすくなるので、用意をしておくと良いでしょう。
おススメのやり方は紙に押したものを透明なテープで裏表から貼り、簡単パウチみたいなものを作っておくと汚れたり破れたりせず長く使えます
印を頼む、彫る
書道の印を彫ることを篆刻(てんこく)という言い方をします。
自分の印が欲しい。と思った時に印を彫ってくれる方やお店を探しますが、その場合今まで彫ったサンプルの印影などを見て、自分の好きなタイプの印を彫っているところにお願いすると良いでしょう。
彫る方にも世界観があるので全然違うタイプの方に真逆なものをお願いしても仕上がりのイメージがちょっと、、、となる可能性があると残念です!
味のあるタイプの作品を書くのに、真面目なかたいイメージの印はミスマッチだし古典的な作品を書いたのに遊びがあるデザインでも合いませんね。
どんなサイズで?白・朱文で、どんな印のデザインで?
ということを考えてからお店なり、篆刻家の方にお願いしてみてください。。
自分で彫る。という選択ももちろんあります。
私自身生徒さんに消しゴム印をさしあげる時だけではなく自分用に彫る時もあります。
今までご紹介した写真の中に、石のものも自分で彫った印も登場しております
印も小さな画面の世界で宇宙を現わすといわれているように小さな画面に凝縮された想いが詰まっています
自分の宇宙(そら)を見つけられますように!!