墨汁の濃さ・上手に使う
書道にとって大切な道具の一つである墨。紙、筆、下敷き、文鎮とともに絶対必要なものです
はじめは墨汁が使いやすい
墨には固形のものもあれば墨汁もあります。
固形のものは硯ですって使用。
書道を始めるときにどんな墨を買えば良いのだろうか?と思いますよねまず始めてみようという時に墨汁を使ってみると良いと思います
いざ墨と硯を揃えて、、というかたちから入るのも気分があがりますが、まず練習し筆や墨、書く事に慣れてきたら自分の好みの色や特性など考えて購入しても良いかと思います
墨汁の種類
墨汁というと小学生の時に使っていたものを思いうかべる方も多いと思いますが、墨汁にも種類と価格も安いものから高額なものまで沢山あります
書道用品を売っているコーナーに行っても固形の墨も墨汁も種類・値段もさまざまですし説明を読んでも果たして自分はどれを買って良いのかよくわかりませんよね
種類と色味の説明をしておきます
色味
墨汁ならば最初から書きやすい濃度で売っているものから濃墨といってかなり濃いものまで。
色も通常の黒、青墨(すこし青味がかった色)、茶墨(少し赤味がかった色)といったように同じ黒でも少し色が違います。固形の墨にも同じように色味の違いがあります
色味は好みで買うと良いでしょう。青、茶といっても黒の中で色味がすこし振れているので見た目は黒です。
洋服などでも同じ黒といっても良く見ると青味が強い黒と赤味が強い黒があるのと同じです
種類
一番高級なものを買わなければならない。ということではありません。特に墨汁は学童用や落ちやすい。といわれているものは安価でもあるけれど材料が本来の墨と違うものでつくられている物もあるので気をつけましょう。
作品を額や軸に仕立てるときに裏打ちといった仕上げの方法がありますが、そのとき霧吹きで水をかけシワを伸ばす作業をします。その時に水で流れたりといったトラブルを生まないためにも【作品用】と書かれている墨汁を買うことをおススメします
濃さ
そして、墨汁は容器からそのまま出して使用できるものもありますが、【濃墨】というかなり濃いめになっている墨汁が最終的に良いと思います。後に書く墨の扱い方を読んでいただけるとなぜ【濃墨】を使う方が良いか?がおわかりいただけると思います
墨の扱い
季節や気温によって墨の扱い方に気を付けるポイントがあります
墨は本来煤(すす)と膠(にかわ)を練り、物によって香料や他の材料を入れて練り上げ型に入れて取り出し乾燥させたもの。【作品用】の墨汁も天然の煤と膠で作られています。
天然の素材でつくられているからこそ液体になっている状態からの扱いも気にしながら使ってみてください
煤はかなり細かい粉でできていてイメージとしては小麦粉のよう。ちょっとした空気の動きでも舞い散って扱いが大変。膠は動物の骨や皮を煮詰めてつくられる日本画などでも使われる日本では昔から使われてきた接着材です。
この膠は温かいと液体状になり、気温などが低いとゼリー状になります。料理のゼラチンやにこごりを思いうかべてもらえるとわかりやすいですね。
極細かい粉ものと寒いと塊になる膠そこを理解すると墨の扱いがわかりやすい。
冬場は寒いので墨がやや硬くなってきます。硬いといっても液状ではあるのでごくわずかにトロミがある感じ。
濃い墨を薄める水などは少しだけ温かいお湯で溶くと良。ただし熱湯や熱めのお湯は膠を変質させてしまうのでNGです。夏のエアコンが効いた部屋や冬の乾燥している時暖房がついている時などは自然に水分が蒸発していきます。
時々、少し水を足して適度な濃さにしましょう
適度な濃さって?というのが一番わかりづらく、測りで何グラム、何ccというわけにはいかないのです。先ほどの季節によっても違うし、部屋の環境、細かくいえば天気によっても。そして紙によっても濃さを調節します。
こうしたことから、【濃墨】を使用すると状況にあわせて調整ができるようになるので、濃墨を使用することをおススメします
最初はすこし手間に思うかもしれませんが、ぜひ使いやすい墨をつくってその種類や書き味を確かめながら墨と対話してください
いろいろ墨の濃さや書いた時のイメージがわかってきたら、固形墨と混ぜてみたり固形墨の種類を試してみたり。正解はないのです。自分の想う墨をつくってみて白と黒の世界を楽しんでみてください
墨汁の扱い方手順 まとめ
☑ 時々墨液をかき混ぜながら使用。
墨の原料の煤(すす)が沈むので入れ物に入れる前に墨汁の入れ物をよく振ってから注ぐとなお良い
☑ 夏冬限らず、エアコンのがついた状態の部屋や自然に水分の蒸発で墨がだんだん濃くなってきます。 ちょっと濃くなってきたら少し水を足してあげる
水を足す時は少しずつ様子を見ながら
☑ 書き終わって墨汁がたくさん余って、次の日すぐに使うようなら蓋がある入れ物に入っていたら蓋を、なければラップをして乾燥とホコリとうっかりぶつかって部屋に墨を飛び散らさないようにしてください
☑ しばらく墨汁を使わないようなら、きれいに洗ったペットボトルなどに入れて保存すると良いです
☑ あまり暑い部屋に墨汁を長時間放置しないよう。長期間使用する予定がなければ、冷蔵庫に入れて保存
☑ 一度使用した墨汁、水を足した墨汁は元の容器に戻さずに先に書いたペットボトル保存など別のものに
☑ 次書くときは先にその保存した墨汁の方から使うこと!書いている途中足りなくなってきたら、新しいく墨汁をつぎ足します